卓球のラケットは一見シンプルな道具に見えますが、グリップの形や構造によって驚くほど個性豊かなバリエーションが存在します。普段使っているシェークハンドラケットとは一味違う、ちょっと珍しい形状や仕組みを持つラケットを知っておくと、道具選びの視野がぐっと広がります。
- 卓球ラケットにはシェークハンドとペンホルダーという大きく異なる2系統がある
- グリップの断面形状だけでもFL・ST・ANなど複数のタイプが存在する
- 片面で日本式と中国式を切り替えられるハイブリッド構造のペンホルダーもある
- 粒高やアンチといった特殊ラバーに合わせた専用設計のラケットも販売されている
- 自分のプレースタイルに合うグリップを知ることが、道具選びの第一歩になる
卓球ラケットの基本、意外と知らない2つの系統
卓球ラケットの持ち方には、大きく分けてシェークハンドとペンホルダーの2種類があります。シェークハンドは握手をするように握る形で、現在の国際大会では主流のスタイルとして広く使われています。一方のペンホルダーはペンを持つように握るスタイルで、かつては主流だった時代もあり、現在でも独自の持ち方として愛用している選手が存在します。
シェークハンドは両面にラバーを貼ってどちらの面でも打球できるのに対し、ペンホルダーはラケット面の片面だけで打つスタイルが基本とされています。ただし後述するように、両面を使うタイプのペンホルダーも存在しており、この境界があいまいになっている点も卓球ラケットの面白さのひとつです。
この2系統の違いを踏まえたうえで、さらに掘り下げていくと、グリップの断面形状やブレードの構造に多彩なバリエーションがあることに気づきます。ここからは、普段あまり注目されない珍しい形状のラケットを具体的に見ていきましょう。
グリップの断面形状だけでこんなに違う
シェークハンドラケットのグリップは、一見どれも似ているように見えますが、断面の形状によっていくつかのタイプに分けられます。代表的なものを整理すると次のようになります。
| タイプ | 特徴 | 相性が良いとされる傾向 |
|---|---|---|
| FL(フレア) | グリップの先端が広がった形で手のひらに収まりやすい | 多くのプレーヤーが選ぶ標準的な形 |
| ST(ストレート) | 上から下までほぼ同じ太さで持ち替えやすい | 打ち方に応じて握りを変えたい選手 |
| AN(アナトミック) | 波打つような曲線で手のひら全体に沿う形 | 握りやすさを重視したいプレーヤー |
| SI(ストレートインクライン) | 幅はストレートながら先端に向かって厚みが増す | 厚みのある握り心地を好む選手 |
グリップ形状に絶対的な優劣はなく、どのタイプが良いかは最終的に自分の手の大きさや握り心地によって決まるとされています。可能であれば実店舗などで実際に握ってみて、しっくりくる形を探すのがおすすめです。
アナトミックグリップ搭載シェークラケット
波打つ曲線のグリップが特徴的なアナトミックグリップタイプのラケットは、見た目からも他のラケットと一線を画す珍しい存在です。手のひら全体にぴったりと沿う形状のため、グリップを強く握り込まなくても自然にフィットしやすいと評価されています。初めてこの形状を手にすると、見慣れたシェークハンドとは全く違う感触に驚く人も多いようです。普段ストレートタイプを使っている人が持ち替えてみると、新しい発見があるかもしれません。
片面で2つの顔を持つ、ハイブリッド型ペンホルダー
ペンホルダーラケットの中には、さらに珍しい工夫が施されたタイプも存在します。グリップを反転させることで、片面は日本式、もう片面は中国式として使い分けられる構造を持つラケットです。
丸型のグリップを反転させる仕組みにより、台上での素早い処理やブロックを得意とする中国式の握りと、少し下がって攻撃的に振る日本式の握りを、同じ1本のラケットで切り替えられるようになっています。合板にチタン素材を挟み込むなど、軽さと反発力の両立を図った設計も見られます。
日本式・中国式両用ペンホルダーラケット
丸型グリップを反転させることで日本式と中国式の両方の握りに対応できるのが、このタイプのペンホルダーラケットです。合板に金属メッシュ素材を組み込んだ構成で、軽量さとボールの弾みやすさを両立させているとされています。前陣でのすばやい技術には中国式の握り、下がって大きく振る攻撃には日本式の握りと、プレーの場面によって使い分けられる点が、従来のペンホルダーにはなかった珍しい特徴です。片面で2つのスタイルを楽しめるため、ペンホルダーに興味はあるけれど握り方を迷っている人にも試しやすいラケットといえます。
異質ラバーに寄り添う、専用設計のラケット
卓球のラバーには、主流の裏ソフト以外にも、表ソフト・粒高・アンチといった異質ラバーと呼ばれるタイプがあります。これらのラバーは回転のかかり方や球の飛び方が裏ソフトと大きく異なるため、ブレード自体の設計も専用に近い考え方で作られているものがあります。
粒高ラバーやアンチラバーは、裏ソフトに比べてボールの変化を利用した守備的なプレーに向いているとされています。こうしたラバーの特性を活かすために、硬さや厚みを調整したブレードを選ぶ選手も多く、見慣れた裏ソフト用のラケットとは一味違う仕上がりになっているのが特徴です。
粒高・アンチ対応ブレード
変化球を生かす守備的なプレーに向けて設計されたブレードは、一般的な攻撃用ラケットとは打球感がはっきりと異なります。ボールが当たった瞬間の感触が柔らかめに仕上げられているものが多く、ラバーの変化をそのまま活かしやすいとされています。普段裏ソフトのラケットしか触れたことがない人が持ってみると、重さや弾みの違いに驚くことも珍しくありません。守備型のプレースタイルに挑戦してみたい人にとって、新しい発見のきっかけになるラケットです。
中国式ペンホルダーという、もう一つの個性
ペンホルダーの中でも、グリップが角丸の正方形に近い形をした中国式と呼ばれるタイプは、日本式ペンホルダーとはまた違う持ち味を持っています。グリップが太く短いため、裏面にラバーを貼って両面で打球するスタイルと組み合わされることが多く、シェークハンドに近い感覚で振れると評価されています。
中国式ペンホルダーは、裏面にもラバーを貼って打つ「裏面打法」と組み合わせることで、ペンホルダーでありながらシェークハンドに近い幅広い技術を使えるとされています。片面だけで打つ従来のペンホルダーのイメージとは異なる、懐の深いプレーができる点が魅力です。
中国式ペンホルダーラケット
グリップが角丸の正方形に近い中国式ペンホルダーは、日本式のペンホルダーに比べてグリップが太く短いのが特徴です。裏面にラバーを貼って両面で打つスタイルと組み合わされることが多く、台上でのすばやい技術から大きなスイングを使った攻撃まで、幅広い技術に対応しやすいとされています。見た目は日本式ペンホルダーと似ていても、握ってみると感触がまったく異なるため、初めて触れる人には新鮮な驚きがあるラケットです。
グリップに穴をあけた、発想を変えたラケット
近年では、従来の握り方の発想そのものを見直した珍しいラケットも登場しています。グリップ部分に指を通せる穴を設け、親指・中指・グリップの3点で支えることを意図した構造を持つタイプです。
指を通す穴を設けることで、握力に頼らずにラケットを安定して支えられるようにする狙いがあるとされています。従来のグリップに慣れた人にとっては見慣れない形ですが、新しい握り方の提案として注目されています。
指通し穴付きグリップラケット
グリップに2つの穴を設け、指を通して支える構造を持つこのラケットは、見た目からしてかなり珍しい存在です。親指と中指、そしてグリップ本体の3点で支える設計になっており、握力に頼らず安定した構えを作りやすいという発想のもとに生まれています。従来のシェークハンドやペンホルダーの枠に当てはまらない独自の形状のため、卓球用品のコレクションに加えてみると話題になりそうな一本です。
珍しいラケットを選ぶときに気をつけたいこと
個性的な形状のラケットは見た目や発想が面白い一方で、実際に使う際にはいくつか気をつけておきたい点があります。
- ブレードのサイズや重量が、普段使っているラケットと大きく異なっていないか
- 貼りたいラバーの種類(裏ソフト・表ソフト・粒高・アンチなど)に対応しているか
- グリップの形状が自分の手のサイズに合っているか、可能であれば実際に握って確認する
- 公式戦で使用する場合は、ルール上問題のない形状・仕組みであるかを事前に確認する
特に公式戦での使用を考えている場合、ラケットの形状や構造によっては大会ごとのルールが関係してくることもあります。練習用や趣味として楽しむ範囲であれば、気になった珍しい形状のラケットを試してみることで、卓球の新しい面白さに気づけるはずです。
いつも同じラケットを使っていると、グリップの形状がプレーに与える影響に気づきにくいものです。たまに違う形状のラケットを握ってみることで、自分がどんな握り方を心地よく感じているのかを再発見できることもあります。
まとめ
卓球のラケットは、シェークハンドとペンホルダーという大きな分類だけでなく、グリップの断面形状、片面で2つの握りを切り替えられるハイブリッド構造、異質ラバーに寄り添った専用設計、さらには指を通す穴を備えた発想の転換まで、実に幅広いバリエーションを持っています。普段使っているラケットに満足していても、こうした珍しい形状のラケットに触れてみることで、グリップの違いがプレーに与える影響を改めて感じられるはずです。自分の手や打ち方に合った一本を見つける楽しみも、卓球という道具を使うスポーツの大きな魅力のひとつです。
珍しい卓球ラケット5選|形状とグリップの選び方をまとめました
アナトミックグリップのシェークラケット、日本式・中国式を切り替えられるハイブリッドペンホルダー、粒高・アンチ対応のブレード、角丸グリップの中国式ペンホルダー、そして指通し穴付きグリップのラケットという5つの珍しいタイプを紹介しました。どれも通常のラケットとは違う発想や構造を持っており、自分のプレースタイルや好みに合わせて選ぶことで、卓球の道具選びがさらに楽しくなるはずです。








